第34回 山形鶴翔同窓会総会 京谷伸一校長 母校の近況報告

 皆さんお晩で御座います。本日は第34回山形鶴翔同窓会総会の開催、誠におめでとう御座います。本総会にあたりまして母校を代表して一言ご挨拶申し上げます。私こと、この四月に柴田前校長の後任として鶴岡南高校に赴任いたしました京谷伸一と申すものです。長い歴史と伝統、そして躍進を続ける県内屈指の進学校である鶴岡南高等学校に赴任できたことはこの上ない名誉であり大きな喜びを感じているところであります。と同時にその責任の重さに身の引き締まる思いをしてるところです。私、庄内地区は初めての勤務ですが鶴岡、庄内の地との縁を大切にしながら鶴岡南高等学校のために全力で職務に精励する所存で御座いますので宜しく御願い致します。ご参会の山形鶴翔同窓会の皆様におかれましては日頃より本校の教育活動に対し、隠に陽にご支援ご協力いただいております事に心より感謝申し上げます。
私、この春から同窓会のご支援と依命を受けて会長或いは副会長と共に、関西鶴翔、東京鶴翔、仙台鶴翔或いは新潟の鶴翔支部、更には各地元の総会そしてこの7月1日には平成28年度の同窓会総会創立記念祝賀会に出席させて頂きましたが、それぞれが大変盛会でありまた同窓生の皆様方の母校に対する愛情と熱意に触れる事が出来て改めて鶴翔同窓会の偉大さ素晴らしさ、有難さを強く胸に刻んでいるところで御座います。
 本日は講話と言う事でお時間を設定頂きましたが大先輩方を前に分相応な名目であり、自己紹介と本校の近況と生徒たちの活躍について述べさせて頂きたいと思っております。
 先ず簡単に自己紹介をさせて頂きます。私、本拠地というか住まいは山形市で御座います。ですので鶴岡には単身赴任で行っております。出身は新庄市で御座いまして小学校、中学校までは新庄市で過ごしました。私の新庄の家は祖父の代に家業の関係で山形市から新庄の方へ分家して新庄の家ができたと言うのが始まりです。ですので京谷という珍しい苗字なんですけれども京谷の姓を名乗る家は新庄の周辺には数軒あります。大元の本家の山形市ですので山形市周辺には結構な数の京谷の姓を名乗るものが居るようですが遠い近いはあれ、いずれも同じ血筋を引く一族であると推定されます。
 私、出身高校は山形南を卒業しました。昨年まで校長であった佐藤正志前校長が鶴岡南高校のOBであるということは縁深いなと感じているところで御座います。現在、山形南高校の校長は奥山正徳と言いますが私と山形南高校の同級、同期で御座います。大学を卒業した後は昭和56年に県立高校の教員とし山形県の教員として採用され、最初に寒河江高等学校、その後山形東高高等学校、更に谷地高等学校と村山地区をずっと回りまして平成18年から県教育庁のスポーツ保健課に務めさせて頂きました。私がスポーツ保健課に在籍していた際に村上修一先生を参考にさせていただきました。またスポーツ保健課長の百瀬先生も鶴岡南高校のOBだと言う事で、本当に色んな所で縁があるな、或いは助けて頂いたんだなと改めて感じている所で御座います。その後、スポーツ保健課や谷地高校を出たり入ったりしておりまして、その後、南陽高等学校に務めましてその後、鶴岡南高等学校に赴任させて頂いたという事になります。スポーツ保健課に結構いたので体育の教員の様に思われるむきもあるのですが私の専門は数学でありまして自分の出身の山形南高校では理数科を卒業致しました。鶴岡南高校には理数科がありそしてSSHで名を馳せている、そんな学校に赴任する事が出来てこの上ない喜びを感じている所以でも御座います。
 続きまして学校の近況を報告させて頂きます。鶴岡南高校、今年で創立128周年を迎えました。恒例の7月1日の創立記念式典は本校OBである東京工業大学の斎藤普教授、51年第83回卒業の先輩で御座いますが「ナノサイエンスを開く量子物理学」と言う演題でご講演を頂戴いたしました。注目の新素材であるカーボンナノチューブに関連する物質の最先端のお話でSSHの授業に取り組んでいる本校にとっては大変タイムリーなお話、ご講演であり、生徒教職員一同大変興味深くお聞きする事が出来ました。また生徒たちの未来に向けて大変有意義な視点を与えて頂きました。
 例年、創立記念式典は記念講演と併せて市民会館など公共の施設で多くの同窓生と共に執り行われるものとお聞きしておりますが、鶴岡市の文化会館は改築建設中であり今年度は同窓会館である鶴翔会館に於いてこの記念式典開催されました。7月の梅雨時で大変暑い、鬱陶しい季節なのですが125周年の記念事業で同窓会の皆様方に整備していただいた空調施設、エアコンのお陰で大変快適な環境の中で式典も講演会も開催することが出来ました。改めて同窓生の皆様方に御礼を申し上げる次第で御座います。このような同窓生の皆様の物神両面のご支援により生徒たちも大変健全に逞しく成長して充実した学校生活を送っております。この春の卒業生の進路はあ、進路ニュースお手元にあるかと思いますがこの春の国公立大学の合格者は東京大学、京都大学等の超難関大学への進学も含めて132名と大健闘し、卒業生の67%の生徒が国公立大学に進学しました。国公立大学への進学率、67%という率は2年連続で県内で1位で御座います。
 一方で部活動に於いては昨年度はアーチェリー部が、国体の時からアーチェリー鶴岡に地に根ざしてしっかり活動してる訳ですが、そのアーチェリー部がとうとうと言うかですね、やっとと言うか、ついにと言うかですねインターハイで優勝致しました。これはもしかすると昨年の柴田校長からもご報告があったのかも知れませんがインターハイで優勝ということは大変な事でありまして、そのような快挙に大きく影響され運動部、文化部そして個人種目の将棋なども素晴らしい活躍をしており本校の名前を全国に知らしめてくれている所です。先ほど山形鶴翔会の会長の話にもありましたが学校行事とか部活動で大変活躍して勢いのある年は大学進学の成績も良いと言う本校の伝統をしっかり引き継いでくれたものと思っております。
 また在校生につきましては、この春201名の新入生を迎えまして全校生徒596名でつつがなく新年度はスタートしております。教員の人事についてはお手元の鶴南ニュースという新聞にも何人か新任の方の顔写真も載っておりますが管理職について申し上げますと私を含めて3名全員入れ替わりました。教頭は本校OBの坂尾教頭から小関剛と言う鶴岡中央高校から優秀な教頭を迎えております。事務部長は結城正弘と言い、前吉川部長も本校OBでありましたが、結城も山形南高校OBで山形南づいておりますが転任して三人とも変わっております。一般の教職員のOB、OGからの転任も少なからずあって大変力強いと思っておる所です。
 学校行事で言うと沢山あるんですが、6月伝統の鶴南、鶴工の定期戦がありましたがサッカーも野球も鶴工に勝ちまして、加えて職員のサッカーまでも鶴工に勝ちまして実は4年連続サッカーも野球も職員のサッカーも勝ってると言うのが続いておりまして鶴工さんには申し訳ないなと思いながら本校の勢いを象徴するような結果だと思っております。  現在の運動部の状況ですが、野球部は先日の高校野球の選手権大会は三回戦まで進みましたが残念ながらそこで東海大山形高校に負けてしまいました。野球部はこの春の関西遠征に於いては関西鶴翔同窓会の絶大なご支援を頂戴して強化に力を注いで頂きました。その成果もあって東海大山形とは負けましたけれども大変立派な試合を繰り広げてくれたものと思っております。現在、秋の地区大会が始まっていますが、一次予選は酒田南に、二次予選は酒田広陵高校に負けてしまいました。で三次予選で酒田西高校に勝ち、残り一枠しか県の予選枠がないのですが山形東と対戦致します。是非勝って県大会に駒を進めたいなと思っている所で御座います。また今年もインターハイにはアーチェリーの男子、弓道部の女子、そして水泳部と二団体一個人の種目で出場を果たしております。いずれも夫々予選を突破しておりますが決勝、A決勝には進めなかったものの持てる力を十分に示すことが出来たものと思っております。私自身としては、東大、京大にも入れる進学校でありながらこれ程多くの生徒がインターハイに出ると言うのは素晴らしいなと、よくここまで頑張れる生徒たちと指導してくださる先生方である事かと敬服して応援している所で御座います。
 文化部も大変頑張っております。化学部は全国高等学校総合文化祭でポスター部門と化学の発表部門で4レポート出しておりまして完璧なプレゼンだったと報告を受けております。残念ながら上位入賞には至りませんでしたが、例えば発表の中で三年生の岡部晴子さんと言う生徒がいるんですが岡部さんの研究は慶応大学先端生命科学研究所での研究の一端を発表したようですが、高校生としてあまりにレベルが高く高総文祭に適合しなかったのではと思われる程のレベルの高さだったと言う報告を受けております。慶応大学の生端研からは毎年のように本校生の素晴らしいタレントを育成いただいている訳ですが、岡部さんの研究は「古細菌とエオサイト説」と言うテーマで宇宙における生命の起源進化伝歩及び未来を研究する分野でアメリカのNASAのプロジェクトとも関わって研究を進めている言う事で私は将来のノーベル賞に繋がっているなと感じるのは決して誇張ではないと思っております。
 なお、岡部さんは日本進化学会の高校生ポスター発表部門では『30数億年前の翻訳伸長因子に刻まれた挿入配列が明らかにする真核生物とアーキアの進化の物語』と言うテーマで最優秀賞を受賞しております。お手元のCradle(クレードル)と言う冊子の8ページに取り上げられているんですが、彼女はノーベル賞に繋がるんじゃないかと・・これは決して夢物語ではなくて頑張ってもらいたいなと注目のチャレンジャー、挑戦者であると思っております。
 また鶴岡南高校と言えば吹奏楽研究会と音楽部が大変伝統、そして有名でありますがこちらも頑張っております。吹奏楽部は激戦の地区大会で強豪ひしめく県大会を突破して先日盛岡で行われた吹奏楽コンクールに出場しました。全国大会への切符には残念ながら手が届きませんでしたが本県から参加した高校の中では二番手と言う事で銀賞をもらいました。一番は山形中央高校、銀賞をもらったのは鶴岡南高校と東海大山形高校でした。一昨年はここで金賞をとて全国大会へ進んだのですがやはり毎年と言う訳には行かないまでも素晴らしい成果を出しているなと思っているところで御座います。私も吹奏楽部の演奏は毎回聞いておりますが、4月に定演で聞いたときは大丈夫かなと思うような演奏で、素人の私が聞いてもまだ荒削りだなと思っていたのですがその後、地区大会、県大会とどんどん良くなって日に日に良くなって、晩成型であるとでも言うのですか鶴岡南高校の生徒達というのは重ねれば重ねるほど良くなって行く生徒達なんだなと改めて目の当たりにしたと言うところで御座います。
 また音楽部も8月末の県大会を突破致しまして、この9月23日に山形市の県民会館・やまぎんホールにて開催される全日本合唱コンクール東北大会に駒を進めております。鶴岡と言えば合唱と言われるくらい市の伝統もある合唱であります。この23日にお時間があれば、やまぎんホールの方へ足を運んで頂いければと思っておる所で御座います。
 学業の面では、先ほどご報告しました大学入試の成果と並んで本校のSSHの取り組みがご紹介できる事と思います。SSHはスーパーサイエンスハイスクールと言う事業で御座いますが、文科省からJST・科学技術推進機構が担っている高校生の能力開発の事業でしてその実施要項が「高等学校に於ける先進的な理数系の教育を通して将来の科学技術人材等の育成を図る」という風にうたわれておるのですが、本校のSSHはこれまでも前校長からも説明があったかも知れませんが、理数系だけではなくて全生徒が取り組む鶴南ゼミと言うのをこのSSHの事業の根幹に据えて実施している所が大きな特徴と言えるものです。鶴南ゼミは生徒が夫々テーマを決めてそれを探求して自分なりに仕上げ発表すると・・そしてその指導助言に当たるのが近隣の山形大学の先生、或いは先端研からの方々、或いは高専の先生、そして公益大の先生方、地域の方々、そんな形で展開されるもので御座いますが、今年は10月13日に中間発表会が、そして明けて2月9日には最終の発表会がいずれも本校の体育館で行われます。時間があれば先輩方からもご覧いただいて後輩の指導と助言、激励の言葉をかけてもらえれば幸甚であると思っております。この本校の特徴的なSSHの取り組みは文部科学省の担当者からも高い評価を得ておりますし、本県においては昨年からスタートした「第6次教育振興計画」の基本方針の一つである確かな学力の育成の為の探求型学習推進そのものであり、なによりも本校生の真の学力の向上に結びついて大学入試の成績にも良い結果をもたらしているものと言えると思います。
 こんな風に言うといい事尽くめのSSHですが、本校のSSHは事業5年目で御座いまして最終年であります。その為、再申請が必要となりますが校内では来年以降も継続をを希望して再申請、継続申請の方向でまとまっております。そしてその採択に向けて知恵を絞って次の企画を練り頑張っているところで御座いますが今日本国中でこのSSH注目が集まっておりまして申請をする学校が多くてなかなか申し込んでも当たらない、採択されないと言う状況があります。東北地区の今年度の採択状況ははっきり言って全滅状態で、東北で昨年、再申請は全て駄目、甘くいったのは弘前高校一校だけで御座います。そういう厳しい状況に有る訳ですが、幸いにも地元 鶴岡市や先端研などを含めて多くの関係機関から支援を受けられる環境にあり、残す課題は一月に文科省で行われる学校長のプレゼンだけだという風に私は圧力をかけられております。頑張ります。宜しく御願い致します。
 そのような中においても鶴岡南高校にこの上ない願ってもない幸いな事が訪れたと思っているところで御座います。それはこの4月から我が県の教育長に廣瀬渉大先生が就任されたと言う事で御座います。同窓会の皆様方はご存知かと思いますが廣瀬渉先生は本校の80回、昭和48年卒業で御座いまして京都大学法学部に進まれ、その後直前には県の企業局企業管理者から課題の山積する教育界でその手腕を期待されての教育長への抜擢と言う事で私たち現場の、特に鶴翔同窓会の関係者は大変喜んでいるところで御座います。
 私は教育長とは先日職務上の面談で初めてお話をする機会をいただいた所ですが、数々の鶴翔同窓会に参加させていただいた事を含めて学校の状況を説明し力添えを御願いした所でした。廣瀬教育長、鶴岡南高校をよろしく御願い致します。
 本校の近況を報告するにあたってもこのように色々な形で、そして多くの同窓会の皆様から本校の教育活動にご支援、ご援助を頂いている事を再確認するに至る訳で御座います。改めて同窓会の皆様に感謝と御礼を申し上げますとともに今後とも変わらぬご支援、ご協力を賜りますよう重ねて御願い申し上げます。ご参会の皆様方のご健勝、そして鶴翔同窓会と山形鶴翔同窓会のますますのご発展を祈念申し上げ近況報告の結びとさせて頂きます。ご静聴ありがとう御座いました。※(動画集に掲載)
 
  鶴岡南高校校長 京谷伸一